ここでは、自動車業界における金型コーティング対応の事例を紹介しています。
吉田SKTに寄せられた企業の悩みをもとに、一連の流れを解説していきましょう。どのような課題を抱え、どのような対策を講じたのか、解決までの流れをぜひ参考にしてください。自社の金型に対しての具体的な対策も掴めるようになるはずです。
自動車部品を製造するため、ASAやABSといった樹脂部品を熱融着によって貼り合わせる工程において、熱板を使う方法を採用。約180~210℃でターゲットになる樹脂を溶かし、もうひとつの部品との熱融着を試みていました。
しかし、熱板と樹脂が貼りついてしまったり、溶けた樹脂が糸を引くように伸びてしまったりするため、それらを防ぐためのコーティングを探すように。コーティングによって離型性を高め、容易に製品を取り出せるようにしたいと望んでいました。
本来、熱融着の工程ではフッ素樹脂コーティングが使用されていましたが、生産性の向上が求められたため、作業時間を短くする必要がありました。
まず、樹脂を早く溶かさなければならなかったのですが、早く溶かすには熱板の温度を上げなければならない。従来の金型では離型効果が長持ちせず、製品の品質が下がってしまいます。200℃以上の高温域でも、製品の品質を落とさずに、きれいに製品を取り出せるようなコーティングを施さなければいけませんでした。
従来のフッ素樹脂よりも、「離型性」と「熱時硬度」を兼ね備えたフッ素系離型用コーティングを金型に施すことに。
その際に使用される樹脂が、FSR(フロロスーパーリリース)。PFAやFEPなみの離型性に加え、200℃以上の高温域の使用にも耐えられる高い熱時硬度を実現しました。樹脂が金型に付着しにくいうえ、高温環境でも硬さを維持できる熱時硬度を持つFSRで金型をコーティングすることで、上記の課題解決を図りました。
従来のPFAコーティングと比べて、FSRは200℃以上で使用する場合の離型効果の持続、さらには、金型の寿命の向上も見られるように。
コーティングした結果、高温環境のなかでも、金型の硬度が落ちることはなく、製品を簡単に取り出せるようになりました。材料や製品が金型に付着しないため、表面に傷もつかず、品質向上に貢献。課題解決に至りました。
しかし、型の形状によっては、物理的に貼りつきやすい熱板もあったようです。
自動車部品を成形する際、高温環境のなかで作業を行うケースも多くあります。高温に耐えきれない金型だと、樹脂が金型に付着してしまってうまく取り出せず、製品の表面に傷がついてしまうリスクも。今回のケースでは、熱に強く、離型性も向上できるコーティングを施すことで、課題を解決できました。
自社の課題を明確にしたうえで、コーティングの種類を選定することが非常に大切です。
このような施策や対応に興味がある、自社の金型の性能を上げたい。金型に関する課題を抱えているのであれば、ぜひ金型に対応したコーティングメーカーをチェックしてみてください。
金型の寿命を延ばすことで生産性向上にもつながる金型コーティング。しかし、金型の種類によって耐摩耗性や耐熱性、樹脂残留など解決したい課題はさまざま。 ここでは、金型の種類別に課題を解決できるおすすめコーティングメーカーを紹介します