ここでは、医療機器業界における金型コーティング対応の事例を紹介しています。
吉田SKTに寄せられた企業の悩みをもとに、一連の流れを解説していきましょう。どのような課題を抱え、どのような対策を講じたのか、解決までの流れをぜひ参考にしてください。自社の金型に対しての具体的な対策も掴めるようになるはずです。
便秘薬など、医薬品を製造している企業の悩みです。
涙のような形の容器に薬を充填し、その製品をシューターからいったんトレーにためていました。次の工程に搬送する際に人の手で製品を送り出すのですが、トレーと薬の容器のすべり性が悪いため、大きな力が必要でした。さらに、搬送にも時間がかかっており、作業効率が低かったとのこと。
搬送時の作業負荷が大きいという背景があり、搬送時のすべりを改善したいと思っていたそうです。
容器は薬が注入しやすいよう柔らかい素材で作られているので、金属製のトレー表面との相性は良くありませんでした。
そこで、搬送用のシュートやガイドを使用したところ、金属製トレーよりはすべり性が向上しましたが、顧客の期待していた効果までとはいかなかったそう。柔らかい容器はトレーに接触する際、接触面積が増加してすべりにくくなっている可能性が高いため、すべりやすくするためにさらなる工夫を考える必要がありました。
金属製のトレーに、「スーパーTP半球グラフィック」と呼ばれるコーティングを施すことに。
スーパーTP半球グラフィックは、卓越した非粘着性を持つフッ素樹脂。容器との接触面積を極小にすることで、高い非粘着性を実現するそうです。そのうえ、ばらつきがなく、常に安定した性能でトレーを保護できるという特徴がありました。
接触面の凹凸を調整できるため、点眼薬ボトルなどのすべり性改善においても実績があったそうです。
さっそく「スーパーTP半球グラフィック」をサンプルで試したところ、現状の金属トレーに比べて、はるかに小さな力でも製品をすべらせることが可能になりました。力が弱い作業者でも楽に送り出せるようになり、作業負担の大幅な軽減に成功。
非粘着性の高い樹脂でコーティングしたトレーによってすべり性が向上し、作業効率も改善されたという結果です。
今回のケースでは、柔らかい容器と金属製トレーとの相性が悪く、すべり性を向上させるために、トレーに「スーパーTP半球グラフィック」というフッ素樹脂コーティングを施すという流れです。すぐれた非粘着性を有しているため、小さな力でもスムーズに製品をすべらせることができ、課題解決に至ったとのこと。金属に製品がはりつくのを防ぐには、離型性を高めてくれるフッ素樹脂コーティングが適していました。
今回のように、自社の課題を明確にしたうえで、課題をしっかり解決してくれるコーティングを選定することが大切です。
このような施策や対応に興味がある、自社の金型の性能を上げたい。金型に関する課題を抱えているのであれば、ぜひ金型に対応したコーティングメーカーをチェックしてみてください。
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