金型の寿命延長や性能向上を実現するには、コーティングがおすすめです。しかし、一口でコーティングといっても、コーティングにはさまざまな種類があります。
ここでは、金型のPVDコーティングについてまとめました。PVDコーティングは、どのような金型に適しているのか。また、どのような業界や製品に向いているのか。あわせて、メリット・デメリットも詳しく解説しています。くまなくチェックして、自社で取り扱っている金型に合っているかを確認してください。
PVDコーティングを施す金型は、プレス金型や成型金型といった耐摩耗性が求められる金型に適しています。
これらは摩擦や摩耗が激しい工程のため、PVDコーティングによって硬度を高め、摩耗に強い金型に仕上げることが可能。安定した品質で、効率良く製品を形成できるようになるでしょう。
PVDコーティングは、高温環境で使用する金型にも向いています。
たとえば、熱間鍛造金型やダイカスト金型などが当てはまるでしょう。PVDコーティングを施した金型は耐熱性が向上するため、高温環境においても精度の高い形成を行えます。
電子部品用の金型、光化学部品用の金型など、精密性が求められる金型にもPVDコーティングは向いているでしょう。
これらの部品は高い精度が求められ、一寸の狂いもないことが望まれます。PVDコーティングは、金型の寸法精度をほとんど変えない薄い皮膜で金型を保護しつつ、表面性能も向上。高精度な部品を提供できます。
まず挙げられるのは、自動車業界です。
PVDコーティングは、耐摩耗性や耐熱性、耐衝撃性の向上に貢献するため、自動車のボンネットやドアなどのプレス部品のほか、エンジン部品やシャーシ部品、ギアなどと相性がよいと言えるでしょう。高い精度で部品を製造できるうえ、業務効率も上がります。
航空宇宙業界とも相性がよく、機体の高強度部品や複合材の成型用金型に向いています。耐熱性が向上するので、高温の環境下で使用される部品の加工に対応。PVDコーティングによって非粘着性や耐摩耗性も有効に作用するため、複合材料の加工にも適しています。
金属加工業界にも向いており、PVDコーティングを施した金型は鍛造や切削、絞り加工、圧延などに使われます。金型の硬度が強化されるので、高い加工圧力に対応可能。高温環境でも品質のよい金属製品を提供できます。
金型の寿命を延ばせる点が、PVDコーティングの大きなメリットです。
金型の表面硬度が強化されて摩耗しにくくなり、耐久性が大幅に向上。耐熱性も向上するため、高温環境での性能劣化も防ぐことが可能です。その結果、金型の寿命が延び、安定した品質で製品を製造できるでしょう。
金型の寸法精度を維持できる点もメリットと言えます。
PVDコーティングは数ミクロン程度の薄膜であり、金型の元の形状や寸法にほとんど影響がありません。設計どおりの正しい製品を成形できるため、修正を行う必要がなく作業効率が大幅にアップするでしょう。
PVDコーティングは硬度が非常に高いため、金型の形状変更や修正があった場合、簡単に実施することができません。
コーティングを削る作業に手間がかかってしまい、作業工程において時間をロスしてしまう可能性も。作業前に、金型の用途などをしっかり確認しておくことが重要です。
PVDコーティングは、耐摩耗性や精密性が求められたり、高温で作業を行ったりする場合に求められる金型に適しているコーティングです。そのため、自動車業界や航空宇宙業界、金属業界などと相性がよく、各業界の製品の品質向上や生産性の向上などに貢献しています。PVDコーティングにはそれぞれメリット・デメリットがありますので、金型を使う目的や用途を改めて確認し、コーティングを施すかを決めるとよいでしょう。
金型には、それぞれ金型の種類に適したコーティングを施すことが必要です。このサイトでは、金型の種類別におすすめのコーティングメーカーを紹介。 自社で取り扱っている金型にどのようなコーティングが適しているか悩んでいるのであれば、ぜひ参考にしてください。
金型の寿命を延ばすことで生産性向上にもつながる金型コーティング。しかし、金型の種類によって耐摩耗性や耐熱性、樹脂残留など解決したい課題はさまざま。 ここでは、金型の種類別に課題を解決できるおすすめコーティングメーカーを紹介します