金型の使用において、「かじり」は金型の性能や寿命に影響を与える要因です。かじりが起こる原因は、金型がスライドする際に起こる摩擦や潤滑不足など、さまざまなものがあるよう。
ここでは、金型のかじりで起こる課題や改善策などについてまとめました。このページを読めば、有効な対策を知ることができるでしょう。自社で取り扱っている金型のかじりの原因はどこにあるのか、かじりを防ぐにはどのような対策が適切なのか、ぜひ参考にしてください。
かじりによって金型がスムーズに動かなければ、製品が設計どおりの形状になりません。
たとえば、製品のサイズが小さくなりすぎたり、大きくなりすぎたり。また、表面に凸凹ができたり傷がついたりと、製品の品質も下がってしまいます。
製造の効率が大幅に落ちてしまい、生産性が低下する点も課題と言えるでしょう。
かじりによって金型の動作が遅くなったり停止したりすることがあるため、業務が止まってしまう時間が増えるリスクも。金型のかじりは、業務の生産性にも大きな影響を及ぼすのです。
かじりが進行すると、金型そのものが破損してしまうケースもあります。
早期の交換や修理が必要になるので、かえってコストが高くかかってしまうかもしれません。金型が破損したまま使っていると、作業者にとっても危険性が高くなります。
金型にかじりが発生する原因はさまざまですが、その多くは金型を繰り返し使用することによる摩擦だと言われています。ひとつずつ解説していきましょう。
金型の部品がスライドする際に、摩擦が生じます。摩擦が繰り返されると、金型の表面が摩耗し、かじりの原因となります。
摩耗には、摩耗する部材間に硬度の差がある場合に生じるアブレシブ摩耗、金属疲労によって摩耗する疲労摩耗などいくつかの種類があり、それぞれに適した対策が必要です。
潤滑剤などが不足していると、金属同士の直接的な接触が増えてかじりの原因になります。潤滑剤は、部材同士の接触による傷や変形を防ぐもの。金型の表面が保護されていないため、かじりが発生するリスクが高くなってしまうのです。
金型の使用中に熱が発生し、高温になることでかじりが生じる確率が高くなります。熱の影響で金属表面が熱くなると、金型の部品が膨張したり表面が軟化したりするため、より頻繁に固着するようになるでしょう。
摩擦が起きにくい素材を選ぶことが大切です。硬度の異なる2つの金属が擦れ合う際、硬い方が柔らかい方へと食い込んでかじりが発生するため、硬度が高い素材を使うとよいでしょう。
また、金型が類似した特性を持つ金属で作られているとかじりができやすいので、異なる金属を使用したり、金属と非金属材料を組み合わせたりすることで、有効なかじり対策となります。
定期的に潤滑剤を使用することで、かじりを改善することが可能です。
潤滑剤が接触部分を保護する役割を果たし、摩擦を大幅に低減。表面のくっつきが起きにくくなるため、凝着摩耗を防げます。金型をスムーズに動かせるよう、定期的に潤滑剤を使いましょう。
金型の表面にコーティングを施すことも、かじりの対策になります。
たとえば、クロムメッキやフッ素樹脂といったコーティングがあります。表面処理を行うことで摩擦を減らし、凝着しにくい皮膜を形成。樹脂の付着防止に繋がるため、かじりを防ぐ有効な手段と言えるでしょう。
金型を使用するうえで、かじりは回避することが難しい現象。不良品の形成、生産性や品質の低下といった課題を引き起こします。
その原因には、過剰な金型の使用による摩擦や潤滑油の不足、熱が発生して高温環境になるなどがありますが、それぞれ適した対策をすることでかじりのリスク軽減が可能です。対策のなかでも、金型にコーティングする方法がおすすめ。コーティングを施せば、摩擦を減らして凝着しにくくなり、製品の品質向上や業務の効率化も期待できるでしょう。
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