金型のカス上がりは、形成する製品の品質に悪影響を及ぼす大きな要因となります。生産効率を上げ、高品質な製品を提供するためにも、金型はできるだけよい状態のまま維持しておきたいもの。カス上がりが起きる原因はさまざまであるため、個々に適した対策を講じることが重要です。
ここでは、金型のカス上がりによって起きる課題やカス上がりの原因、有効な対策についてまとめました。ぜひ参考にして、金型のカス上がりを防ぎましょう。
カス上がりは、製品の品質の低下を招きます。
たとえば、製品が設計どおりの正しい形状にならなかったり、外観にも影響が出たり。製品の表面に傷や凸凹ができると、再度作り直さなければならないケースも。品質不良を取り除くための手間もかかってしまう可能性があります。
カス上がりが原因で、金型や設備が壊れてしまう場合もあります。たとえば、金型内に残留物がたまって金型の表面を傷つける。製品が金型からうまく離型できず、過度な摩擦がかかって金型が摩耗する、など金型に影響を与えてしまうリスクも考えられます。
また、カス上がりによってパンチ・ダイが破損してしまうケースもあるようです。プレス加工ラインが停止し、生産効率が大幅に低下してしまうかもしれません。
カス上がりの原因のひとつとして、パンチと被加工材の間に発生する負圧があります。パンチが下降する際、ダイ上と被加工材との空間に負圧ができます。その負圧によって、吸い付くような形でパンチに抜きカスが吸着してしまう。それがカス上がりにつながります。
プレス加工時に使用する加工油も、カス上がりの原因のひとつです。加工油が金型の表面に付着していると、加工油による表面張力によって、抜きカスが吸着。次回の加工時に、カス上がりとして発生するケースがあります。
原因として、「ダイ内にたまる抜きカス」と「被加工材との空間の圧縮空気」によって抜きカスが押し上げられる点も考えられます。
プレス加工では、ダイ内部に抜きカスが落とされていきます。カスとカスの間にたまった空気が、パンチの下降によって圧縮される。パンチが上昇すると圧縮された空気によって抜きカスが押し上げられ、カス上がりが起こります。
プレス加工時では、パンチに空気の逃がしを作ることが重要です。空気の逃がしを作ることは、負圧と圧縮空気の発生に対する有効な対策。圧力の変化を回避でき、パンチに抜きカスが吸着するのを防ぎます。
金型のカス上がり対策として、コーティングも非常に有効な対策と言えるでしょう。コーティングを行うことで、金属表面の摩擦を低減。材料がスムーズに金型に流れるようになるため、カスの発生を防げます。また、材料が金型の表面に付着しにくくなり、カスが残るのを防止することも可能です。
コーティングは、金型の耐摩耗性や耐腐食性の向上にも貢献。金型の寿命が延び、安定した品質で製造できるので、カス上がりの減少にもつながるでしょう。
金型のカス上がりは、製品の品質に影響を及ぼす要因のひとつです。不良品ができたり、表面に凸凹ができるなど外観に問題が生じたりなど、再度修正が必要になるケースもあります。金型や設備が壊れてしまう可能性もあるため、スケジュールが大幅に遅れてしまうリスクも否めません。カス上がりが起きる原因を明確にし、それぞれに適した対策を講じる必要があります。
対策のなかでもおすすめしたいのは、金型をコーティングする方法。耐摩耗性や耐腐食性を向上させ、安定した品質を保てます。カス上がりの低下にもおおいに貢献するでしょう。
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