PVDコーティングが剥がれてしまう場合、さまざまな原因が考えられます。ここでは、PDVコーティングの一般的な寿命や剥がれの原因、コーティングの寿命を伸ばすための対策について解説します。
PDVコーティングの寿命は、さまざまな要因によって大きく異なるものの、一般的には数ヶ月程度持つことが多いといわれています。ただし過酷な条件下で使用される場合には、数週間で摩耗が見られるケースもあります。PVDコーティングの寿命を決める要因としては下記のようなものが挙げられます。
PVDコーティングを行った際の寿命は、温度や湿度、圧力、摩擦といった「使用環境」によって大きく変わってきます。例として、高温の環境や強い摩擦が加わるといった場合には、PVDコーテイングが摩耗するスピードが早くなる可能性も考えられます。
使用される材料や加工されるワークの素材などによっても、コーティングの寿命が変わってきます。高度の高い素材を加工するケースにおいては、コーティングにかかる負担が増大することから、寿命が短くなってしまうケースもあります。
PVDコーティングを実施する前の表面処理が適切に行われているか、という点も寿命に影響します。処理が不適切な場合には、コーティングが剥がれやすくなってしまうことから、寿命も短くなります。
コーティングをどれくらいの厚さで行うか、という点も寿命に関連してきます。例えば、薄すぎると摩耗スピードが早くなり、厚すぎる場合には剥離しやすくなる、と一般的に言われているものの、使用環境によっては寿命が変わってきます。そのため、それぞれの使用環境に合わせた厚みでコーティングを行うことが推奨されます。

コーティングが剥がれてしまうといった状況は、成膜工程における不備や設計ミス、過酷な使用環境などが原因で発生すると考えられます。
まず考えられるのが、密着不良によるコーティングの剥がれです。例えば、成膜前の洗浄が不十分で基材表面に目に見えない油分や酸化膜が残っていた場合には、膜が基材と科学的に結合できません。また、基材の表面がなめらかすぎることで物理的な引っかかりが得られないために剥がれの原因となることも考えられます。
PVDコーティングには「内部応力」があります。膜圧が厚すぎる場合には、この応力が基材との密着力を上回ってしまうことから、コーティングが剥離してしまいます。
コーティングした膜は非常に硬いものとなりますが、土台となる基材(金属)が柔らかかった場合には、強い荷重がかかった場合に基材がへこんでしまいます。この時、基材の変更に膜が追従できず、剥がれ落ちてしまうことがあります。
基材とコーティングした膜の熱膨張係数が大きく異なるケースで、コーティングの剥がれが発生することがあります。加熱・冷却が繰り返される環境下では、界面に大きな負荷がかかり、最終的に膜が浮き上がり剥がれてしまいます。
剥離を防いでPVDコーティングの寿命を伸ばすためには、以下の対策が考えられます。
前述の通り、前処理が適切に行われていない場合にはコーティング膜が剥離する原因となるため、前処理をしっかりと行っておくことが重要になってきます。基材に付着している油分や酸化物の層を除去するなど、前処理の徹底により、寿命を伸ばすことにつなげられます。
コーティングは「厚いほど強い」というわけではなく、用途に応じた膜厚と応力管理が必要になります。例えば、衝撃が加わる用途の場合にはあえてコーティングを薄くし、摩耗が激しい用途の場合には耐摩耗性が高い多層膜を選択する、といったように、内部応力を緩和させる設計が求められます。

PVDコーティングにトラブルが発生した場合、現在発生しているトラブルがどのような点に起因しているかを確認するチェックシートを使用することにより、トラブル状況に対する迅速な判断が可能になります。
もし使用前や使用開始直後に剥離が発生した場合には、前処理不良や膜種の選定ミスがあったことが考えられますが、一定期間使用した後に剥離が発生したのであれば、コーティングの摩耗寿命や基材の疲労などが原因として考えられます。
剥がれた膜がうろこ状に大きく剥がれている場合には、内部応力が大きすぎたことが剥離の原因として考えられます。また、細かくポロポロと欠けているような状況であれば、衝撃過多または膜の靱性不足などが挙げられます。
加工を行っていく中で、もし回転数や温度を上げたといった変化がある場合には、熱的な過負荷による剥離であると考えられます。
すぐにコーティングが剥がれてしまう場合には、専門メーカーが行う基材と環境に合った設計によって問題の解決が期待できます。専門メーカーの強みとしては、以下のような点が挙げられます。
内部応力がコーティングした膜の剥がれにつながってしまうというケースを防ぐために、専門メーカーでは応力を緩和するための技術を用いたコーティングを行います。例えば、異なる性質の膜を数多く重ねていく「ナノレイヤー技術」などが挙げられます。
さまざまな基材ごとに異なる前処理の方法など、コーティングの密着性を向上させるノウハウを活かした処理を行うことが可能です。
PVDコーティングの寿命にはさまざまな要因が関わっており、前処理を十分に行ったかという点や内部応力などが大きく関連してきます。その対策として、十分な洗浄や用途に応じた膜厚・応力管理といった対応が必要になってきますが、PVDコーティングの寿命を伸ばしたいと考えるのであれば、専門のメーカーに相談することがひとつの選択肢といえます。
専門メーカーでは、コーティングの寿命を伸ばして剥離を防ぐためのさまざまなノウハウを持っているため、「今のコーティングでは満足できない」「すぐに剥離してしまう」といった悩みを持っている場合には、まず専門メーカーに相談することを検討してみてはいかがでしょうか。
金型の寿命を延ばし、生産性向上にもつながる金型コーティング。
ただし、現場で抱える悩みは、摩耗を抑えたい、熱に強くしたい、樹脂の付着を減らしたいなどさまざまです。
ここでは、金型に関するよくあるお悩みから、おすすめのコーティングメーカーを紹介します。
▽こんなお悩みありませんか?
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